土地はいくらか
市街地では路線価で評価する
相続税法では、財産は時価で評価することになっていますが、財産によっては、便宜的に、相続税評価通達によって、定型的な評価の方法を定めています。 例えば、宅地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の 2 つがあります。 前者は主に市街地を、後者は主に郊外地を評価する方法です。
路線価とは、路線(道路)に面する標準的な土地 1 m² あたりの価格のことで、路線価が定められている地域に所在する宅地は、路線価方式で評価します。 路線価は税務署に備え付けられている路線価図で確認できますが、国税庁のホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp/)でも見ることができます。 この方式による評価では、宅地の面積に路線価をかけて計算しますが、宅地の形状等に応じて各種補正率を用いて補正します。 計算式は以下のとおりです。
路線価方式の計算法
区分 | 項目 | 計算式 | |
---|---|---|---|
路 線 価 方 式 で の 評 価 |
原則 | 路線価格×地積 | |
評 価 増 |
1 つの路線に面す | a. 正面路線価格×奥行価格補正率 | |
2 つの路線に面す | b. a +側方路線価格(裏面路線価格)×奥行価格補正率×側方路線影響加算率(二方路線影響加算率) | ||
3 つの路線に面す | c. b +側方路線価格(裏面路線価格)×奥行価格補正率×側方路線影響加算率(二方路線影響加算率) | ||
4 つの路線に面す | d. c +側方路線価格(裏面路線価格)×奥行価格補正率×側方路線影響加算率(二方路線影響加算率) | ||
評 価 減 |
間口の狭い宅地 | a~d の該当地×間口狭小補正率 | |
奥行が長すぎる宅地 | a~d の該当地×奥行長大補正率 | ||
不整形な宅地 | a~d の該当地×減額割合(最高 40% ) | ||
無道路地 | ( [無道路地+道路接道地] の評価-道路接道地の評価)×減額割合(最高 40% ) | ||
崖地 | a~d の該当地×崖地補正率× 0.8 |
郊外地は倍率方式で評価する
郊外地など路線価が付されていない地域に所在する土地の評価は、いかのように計算します。 郊外地などの評価額=固定資産税評価額×倍率 この計算法を倍率方式と呼びます。 例えば、その土地の固定資産税評価額が 3000 万円で、倍率 1.2 倍の場合は、3000 万円× 1.2 となり、3600 万円が評価額となります。
固定資産税評価額は、都税事務所または市区町村で交付される固定資産税評価証明書で確認します。固定資産税の課税標準額とは異なるので、注意してください。 倍率は地域により異なります。税務署に備え付けられている評価倍率表で確認できますが、国税庁のホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp/)でも見ることができます。
事業、居住用の宅地は低く評価する
遺産の中に、一定の要件を満たす被相続人等の住宅や事業に使われていた宅地等がある場合、その宅地等の評価額の一定割合を減額する特例があります。 これを、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。 特例の適用を受けられるのは、個人が相続や遺贈により取得した宅地等で、次のすべての用件に該当するものです。
- 【イ】相続開始直前に、被相続人または被相続人と生計を共にしていた被相続人の親族の事業の用、もしくは居住の用に供されていた宅地等であること この「事業」には、事業と称するに至らない不動産の貸付や、これに類する行為(準事業)も含まれます。
- 【ロ】建物または、構築物の敷地の用に供されていたものであること
- 【ハ】棚卸資産に該当しないものであること
- 【ニ】一定の限度面積までの部分として、各相続人等の合意の下に選択したものであること
- 【ホ】相続税の申告期限までに分割されていること
最大 80% まで減額して評価することができる
特例の適用を受けられる宅地等には、区分に応じた限度面積が設けられています。
また、宅地等の利用状況、区分に応じて減額される割合も異なります。
なお、この特例の適用を受けるには、相続税の申告書に、この特例を受ける旨、その他所定の事項を記載して(第 11・11 の 2 表など)、遺産分割協議書の写しや相続人の住民票・戸籍の附票などの必要書類を添付する必要があります。